- 2005年7月 1日 15:00
- Books
その後10年ほどたって、ある人が「貴方はコルビュジェが好きらしいけれど、私はもう使わないので」といって第一巻をいただき二巻そろって愛蔵書の一部になっています。そろってから改めてこの本を読んでいると、どうも持ち主が同じ人だったということが判りました。当時学生さんだったかどうか不明ですが、本の中に小さなメモがあり、熟読されていたことがしのばれます。
第一巻の最初に訳者の吉坂隆正氏のことばが書かれています。
「Modulorは師が一生かかって、どうしたら建物が「建築」になるかということを探し続けてきた努力の結果、見出し、つくり出した一つの道具だった。」
「この訳書によって、もし日本にこの道具が普及するならもちろん望ましいことである。」「日本の国土が、日本での生活が、「建築」によってかつてもっていたほどの美しさと調和と楽しさとを、新しい形で再びとりもどし実現することを祈ってやまない。そうすることによってはじめて日本も世界に貢献し、その中に存在する理由が成り立つのだ」初版が昭和28年(1953年)ですから吉坂さんがコルビュジェの事務所での修養を終え、帰国してすぐにこの本を翻訳して紹介された当時の意気込みと期待がこの本から読み取れます。
彼のこの言葉は大切にしたいし、自分にとっても常に意識していたいとあらためて思うのです。