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住宅改修について思うこと。。

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3年ほど前から、介護保険における住宅改修のアドバイザーを自治体から委嘱され今にいたっている。地域のケアマネージャーから依頼があった場合、建築士、理学療法士などとチームを組み、依頼者の自宅を訪問し、手すりの取り付けや、段差解消など、利用者の身体状況を見ながら必要な箇所の改修の指導を工務店などに行う。こういった訪問件数が3年間で240件近くになった。年平均80件ということになるが、これらの現場での検証を行って気がつくことは、今までに作られてきた住宅がいかにバリアフリーになっていないかということに脅かされる。もっとも、「日本の住宅の特徴の一つである、地盤面から床が上がっている。畳の部屋と廊下等の段差がある。」ということは、今までの生活習慣や、この国の気候条件などの理由でしかたない部分があるが、部屋の入口のドア枠に下枠(靴摺り)が相変わらずあり、その部分が必ずつまづきの原因になっている。なぜそのようなものがいまでもあるのか。一種憤りを通り越してあきれてしまうのである。私が、設計事務所に勤め、独立して現在にいたるまで、個人住宅には、すくなくともドアの下枠のない三方枠が当たり前と思っていたが、どうもそうではないらしい。

最近は「バ\リアフリー対応」と謳い三方枠のドアが販売されているが、これも奇異なことである。一般的な住宅のドア枠に下枠がある理由は二つあると思う。一つは欧米の下足を中心としたドア形式がそのまま、この国の住宅に取り入れられてしまった。もう一つはドア枠とドアを一体として取り付けたほうが手間が省ける。つまり三方枠に関しては大工工事で壁を作るときに造作で作るが、四方枠の場合、建具屋さんが現場にもってきてポンと大工さんが取り付ける。手間が省ける訳である。私は後者の原因によることが大きいのでは思う。
このことは、住宅を販売してきた事業者が、日本の住宅における住まい方などに充分な関心を払ってこなかったことが大きい。そうした状況のなかで、今、住宅改修においてドアの下枠撤去という段差解消を介護保険で行うということにとても大きな矛盾を感じている。多くのお宅を訪問させていただく中で、ドアの下枠以外にもおかしなところが多々あるが、それは日本人の考えかたによってしかたない部分(たとえば便所\の床と廊下等の段差など)もある。住宅改修は、「おじいちゃん、おばあちゃんのことを思って」と特珠解なのかもしれないが、改修を通して住まい手がもう一度住宅における快適さを見なおしてくれるきっかけになればと思う。しかし、改修という限られた範疇では解決できないことも多いのである。
「住まい方」に関る教育がなされていない現状を考えるとこれから先が思いやられる。「「衣食住」ではなく「住食衣」なんだよ」と、あるファッションデザイナーが話されていたことを思い出す。

Comments:1

ehouse 2005年12月22日 18:06

3年で240件とはすごいですね。
今度ぜひ記録を拝見させてください。

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